最終更新日 2018年5月20日
マカオの静かな銀行が突如米国の怒りを買う
ロンドンを本拠地とするThe Economistは5月17日、世界のビジネスがドルを使用することで、米国財務省が外国でも懲罰的な権限と監督権を得ていることを取り上げた。
2005年、マカオにある銀行が北朝鮮の資金洗浄に関与しているとの疑いで米国財務省のブラックリストに載せられた。銀行はその後米国の金融組織との取引を阻まれたが、マカオ政府の支援もあって、米国の攻撃を凌ぐことができた。
世界各地で貿易の決済にドルが用いられ、各国の銀行がニューヨークに口座を維持するため、米国財務省の権力はワシントンから遠く離れた外国にも及ぶ。先月はロシアのアルミ大手へ、今月はイランへの経済制裁を発表、米国がその力を濫用する恐れが高まっている。
経済制裁を背景とした外交政策の無理強いは・・
例えばドルで決済する場合でも、香港や東京の銀行を通せば、米国財務省の管轄下にはならない。しかし香港にあるシステムの処理能力は、ニューヨークの1%程度に過ぎない。
中国は自国通貨に基づいた国際的な決済システムを構築中で、昨年ロシアは中国からの輸入の15%を人民元で支払った。中国はイランに対しても、人民元による決済を呼びかける可能性がある。
米国財務省でもこの問題を真剣に捉えた人がいる。前任の財務省長官は2016年に、米国の外交政策を遵守しなければドルと米国の金融システムを利用させないという方針を強化すればするほど、中期的に、他の通貨や金融システムへの移行のリスクが高まると述べている。
(画像はcommons.wikimedia.orgより)
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The Economist 記事原文
https://www.economist.com/