2025年8月22日：米国の経済指標強弱入り乱れ、金相場は乱高下の末に下落

米経済指標の強弱がもたらす金市場の揺れ

昨日の金相場の動きは、米国経済の現状に対する市場の不透明感を強く反映しています。金は一般的に、米国の金融緩和や景気後退への懸念が高まった際に安全資産として買われ、価格が上昇する傾向があります。今回のケースでは、新規失業保険申請件数の増加が、この「金融緩和期待」を一時的に高め、金価格を押し上げる要因となりました。しかし、その後の製造業PMIや中古住宅販売件数といった、より広範な経済活動を示す指標が予想外の強さを見せたことで、景気後退の懸念は後退しました。この結果、金利のつかない資産である金への投資妙味が薄れ、投資資金がより高い利回りを提供するドル資産へと流れたと考えられます。

金価格と米長期金利、ドルの強い逆相関関係

市場の動向を詳しく見ると、金価格が短期的な経済指標の変動に敏感に反応しつつも、より長期的な視点でのファンダメンタルズに左右されていることがわかります。金価格の変動に最も影響を与える要因の一つが、米国の長期金利とドルの動きです。昨日は、製造業PMIの改善を受けて米長期金利が上昇し、ドルも買い戻されました。金はドルの代替資産として見られることが多く、ドル高が進むと、金は他通貨の投資家にとって割高感が増すため、価格が下落しやすくなります。また、長期金利の上昇は、金利を生まない金への投資機会費用を高めるため、これも金価格の下落要因となります。この逆相関関係が明確に機能し、最終的な金相場の下落につながったと言えます。

今後の金価格の見通し：ジャクソンホール会議の行方に注目

今後の金相場の行方を占う上で、本日開催される「ジャクソンホール会議」が極めて重要となります。特に、連邦準備制度理事会（FRB）議長の講演内容が、今後の金利動向とドル相場に大きな影響を与えるため、金価格の方向性を決める鍵となります。もし議長が、インフレ抑制を最優先する姿勢を改めて強調し、金融引き締めを継続するタカ派的な発言を行えば、米長期金利とドルがさらに上昇し、金価格には下落圧力がかかるでしょう。逆に、景気の減速や労働市場の弱さを指摘し、金融緩和への道を示唆するハト派的な発言があれば、金利上昇に歯止めがかかり、金価格は反発する可能性があります。ただし、足元の米経済の底堅さを踏まえると、大幅なハト派発言の可能性は低いと見られており、金価格は当面、上値の重い展開が続くことが予想されます。