米中関係改善で金価格が急落、安全資産需要の後退が影響

米中関係改善が金市場に与えた影響

2025年5月12日、米国と中国が相互関税を一時的に引き下げることで合意し、長引く貿易摩擦の緩和として市場に歓迎されました。これにより、投資家のリスク選好が高まり、安全資産とされる金の需要が減少しました。その結果、金価格は3%以上下落し、1オンスあたり3,228ドルとなりました。これは、2025年4月23日以来の最大の下落幅であり、5月1日以来の安値水準です。また、米ドルが主要通貨に対して強含んだことも、金価格の下落要因となりました。

市場の動向：金価格の下落と取引動向

金先物市場では、5月12日の取引量が前日の244,302枚から348,964枚に増加し、活発な取引が行われました。一方、オープン・インタレスト（未決済建玉）は438,285枚と、前日比で178枚減少しました。これは、短期的なポジション調整が行われたことを示唆しています。また、金価格は一時的に3,259ドルのサポートラインを試し、3,278ドルまで回復しましたが、依然として下落圧力が強い状況です。

今後の展望：金価格の動向と注目ポイント

短期的には、金価格は3,259ドルのサポートラインを維持できるかが注目されます。この水準を下回ると、3,211ドルや3,169ドルへの下落が視野に入ります。一方、3,326ドルを上回ると、上昇トレンドへの回帰が期待されます。今週発表される米国の消費者物価指数（CPI）や、FRBパウエル議長の発言が、金価格の方向性を左右する重要な要因となります。

中長期的には、金価格は上昇基調を維持する可能性があります。JPモルガンは、2025年第4四半期の金価格を平均3,675ドル、2026年第2四半期には4,000ドルを超えると予想しています。これは、中央銀行の金購入や、投資家の安全資産需要の増加が背景にあります。また、ゴールドマン・サックスも、2025年末の金価格を3,700ドルと予想しています。これらの予想は、金が引き続き有望な資産であることを示しています。