米中関税緩和で世界株式市場が急騰、米国株は年初来最大の上昇幅を記録

米中関係改善が市場心理を好転させた背景

2025年5月12日、米国と中国はスイス・ジュネーブでの協議を経て、相互関税を大幅に引き下げる90日間の合意に達しました。具体的には、米国が中国製品への関税を145%から30%に、中国が米国製品への関税を125%から10%に引き下げる内容です。この合意は、長引く貿易戦争の緩和として市場に歓迎され、投資家のリスク選好を高めました。その結果、株式市場は上昇し、安全資産とされる円は売られ、ドル円は一時148.65円まで上昇しました。また、米連邦準備制度理事会（FRB）が利下げを見送る姿勢を示したことも、ドルの支援材料となりました。

市場の動向：米国株と日本株の上昇

米国株式市場では、主要3指数が大幅に上昇しました。ダウ工業株30種平均は1,160.72ドル（2.8%）上昇し、42,410.10ドルで取引を終えました。S&P500種指数は184.28ポイント（3.3%）上昇し、5,844.19ポイントとなりました。ナスダック総合指数は779.43ポイント（4.4%）上昇し、18,708.34ポイントで取引を終えました。特にテクノロジー株が牽引役となり、Amazonは8.1%、Appleは6.3%、Nvidiaは大幅に上昇しました。

日本株式市場でも、日経平均株価が前日比140.93円（0.38%）上昇し、37,644.26円で取引を終えました。金融株や一部のテクノロジー株が上昇を牽引しました。例えば、トヨタ自動車は1.25%、ソフトバンクグループは1.19%、三菱UFJフィナンシャル・グループは1.57%上昇しました。一方で、パナソニックホールディングスは1.93%、日立製作所は1.36%下落しました。
ナスダック

今後の展望：市場の注目ポイントとリスク要因

短期的には、米中関係の改善が市場のリスクオンムードを支え、株式市場の上昇基調が続く可能性があります。特に、テクノロジー株や消費関連株が恩恵を受けやすいと考えられます。また、今後発表される米国の消費者物価指数（CPI）や小売売上高などの経済指標が、市場の方向性を左右する重要な要因となります。

一方、中長期的には、米中関係の不確実性や、FRBの金融政策、企業業績の動向などが市場に影響を与える可能性があります。特に、関税の引き下げが一時的な措置であることから、再び貿易摩擦が激化するリスクも考慮する必要があります。また、日本経済においては、サービス業の景況感が低下しており、内需の回復が遅れる可能性があります。これらの要因を踏まえ、投資家は引き続き慎重な姿勢を保つことが求められます。