2025年8月25日 仮想通貨の活況と金価格の高騰、異なる要因で需要が高まる二つの資産

仮想通貨と金の異なる役割と相関性への考察

今回の出来事を考察すると、仮想通貨と金は一見すると類似した「代替資産」と見なされがちですが、市場における役割は明確に異なります。仮想通貨、特にビットコインは「デジタルゴールド」として称されることもありますが、その価格動向は株式市場、特にハイテク株などのリスク資産と高い相関性を持つ傾向があります。一方で金は、歴史的に「安全資産」としての役割を担い、金融不安や地政学リスクが高まると需要が増します。投資家は、ポートフォリオ内でリスクを取る部分と、リスクに備える部分で、これら二つの資産を使い分けていることが見て取れます。

利下げ観測とETFが主導する市場の動向

市場の動向としては、まず仮想通貨市場では、機関投資家がビットコインのETFを通じて資金を継続的に流入させています。これにより、市場に厚みが出て、以前のような価格の乱高下は少なくなっています。しかし、依然として米国の長期金利や株式市場の動向に敏感に反応する側面も持ち合わせています。一方、金市場では、米国の利下げ観測の再燃により、ドル安と長期金利の低下が進んだことが価格を押し上げる主因となりました。ドル建てで取引される金の価格は、ドルの価値が下がることで相対的に上昇しやすくなります。この二つの市場は、それぞれ異なる要因を主なドライバーとしつつも、金融緩和への期待という共通のテーマで、需要が喚起されたと言えるでしょう。

今後の展望：金融政策と地政学リスクの行方

今後の展望として、仮想通貨と金の両市場は、引き続き米国の金融政策の行方と地政学リスクに左右されるでしょう。仮想通貨については、今後のETFへの資金流入動向や、金融当局による規制の行方が価格に影響を与えるでしょう。また、株式市場の好調が続く限り、リスク資産としての需要は堅調に推移すると予想されます。一方の金は、今後のインフレ動向を占う個人消費支出（PCE）価格指数などの経済指標が、金利とドルにどのような影響を与えるかが焦点となります。もし利下げ観測がさらに強まれば、金価格には引き続き上昇圧力がかかるでしょう。さらに、世界的な紛争や政治的な不安定さが続く限り、究極の安全資産としての金の需要は底堅く推移すると見込まれます。