2025年7月24日 米日株式市場、貿易政策とAIが牽引の新高値

今回の出来事への考察

貿易政策の転換が市場心理を急速に改善させました。米国は日本に対し関税率を25 ％から15 ％に引き下げ、その枠組みをEUにも拡大する方向で交渉が進行。これにより保護主義への懸念が後退し、輸出関連銘柄を中心にリスクオンの流れが加速しました。さらに、米国のテクノロジー大手、特にAI関連企業が予想を上回る決算を発表し、ファンダメンタルズとセンチメント双方から支援が加わっています。AIを含む大型グロース株の復調が相場をけん引し、過去春の下落局面から強い反発が続いています。

市場の動向

米国市場では、S&P500とナスダックが年初来それぞれ約8〜9 ％上昇し、新高値圏に位置。AIチップを手掛ける企業やインフラ関連の急騰が顕著で、数社の大型企業決算が買い安心感を醸成しています。これにより、夏場にもかかわらずリスク志向が強まり、債券利回りは横ばいもしくは微増、一部短期金利が慎重な動きを見せています。一方日本では、関税引き下げの恩恵から輸出・自動車関連株が活況。これに加え、内需よりも外需依存型の銘柄に資金流入が顕著で、日経平均は3.5 ％上昇し年間を通じて高値水準へ。

今後の展望

今後も貿易協定の具体化により市場にはさらなる安心感が期待されます。特にEUとの協調的な交渉が進展すれば、グローバル景気の追い風となる可能性が高く、株価にプラスと見込まれます。ただし一方で、予想外の関税再拡大や地政学的リスクが再燃すれば急速にセンチメントが冷える恐れも存在します。加えて、AI関連株は成長期待が過大評価されやすく、利益確定売りを誘う可能性があり、夏枯れ相場の薄商い下では値動きの乱高下も念頭におく必要があります。経済指標として、小売売上高や失業保険申請件数、対米貿易収支などが今後の相場転換の契機となり得るでしょう。