2025年7月8日 米国関税発表で金価格は下落、ドル高と金利上昇が重荷に

新たな関税発表が金市場に与えた影響

昨日の金市場の動きは、トランプ前大統領による新たな関税発表が主要な要因となりました。この発表は、貿易摩擦の再燃とそれに伴うインフレ再燃の可能性を市場に意識させ、米国の長期金利を押し上げる結果となりました。金は一般的に、インフレヘッジや安全資産としての需要が高いですが、高金利環境下では金利のつかない金よりも、高利回りの債券などが選好される傾向にあります。また、ドルが強くなることも、ドル建てで取引される金にとっては価格の押し上げ要因とはならず、むしろ調整圧力がかかる要因となりました。

金価格の反落と投資家心理の転換

昨日の金市場では、米国長期金利の上昇とドル高の進行が重なり、金価格が反落しました。投資家は、新たな関税が米国経済に与える影響や、FRBの金融政策の今後の方向性を慎重に見極めようとしています。堅調な経済指標と追加関税によるインフレ懸念が相まって、FRBが早期に利下げに踏み切るとの観測が後退したことが、金への投資妙味を薄れさせたと考えられます。金価格は一時的に3,300ドルを割り込む水準まで下落し、市場のセンチメントがリスクオン方向に傾いたことを示唆しました。

今後の金市場：貿易政策と金利動向が鍵

今後の金市場は、米国の通商政策の動向、そしてそれに伴う金融政策の行方に大きく左右されると予想されます。もし、トランプ前大統領が提唱する関税政策が本格的に実施され、世界的な貿易摩擦が激化するようであれば、景気後退への懸念が高まり、安全資産としての金が再び買われる可能性があります。しかし、同時にインフレ圧力も高まることで、FRBが金融引き締め姿勢を維持すれば、高金利環境が金価格の重しとなる可能性も考えられます。当面は、米国の政治動向と経済指標、そしてFRB高官の発言に市場は敏感に反応するでしょう。