最終更新日 2025年7月1日
2025年6月30日 世界経済の安定感を背景に金価格は調整局面入り
昨日の世界経済では、金（Gold）の価格は前週までの高値圏からやや下落し、調整局面に入った形となった。米国のインフレ指標が大きく崩れなかったことで長期金利が上昇し、安全資産としての金の需要が一服した。加えて、株式市場のリスクオンムードが続いたことも、資金が株式に向かいやすく金市場から流出する要因となった。一方で中東情勢や一部の地政学リスクは依然として意識されており、下値では実需の買いも散見されたが、現状では利食いの動きが優勢だった。金価格は一時的に2,300ドル台前半まで軟化したが、底堅さも確認されており、今後の金利動向次第では再び買いが入りやすい局面が想定される。
利上げ期待後退の織り込みが進んだ反動
ここまでの金価格は米利下げ期待を背景に高値圏で推移してきたが、インフレ指標が市場予想を大きく下回らなかったことで、過度な利下げ観測が後退しつつある。これに伴い長期金利が上昇したため、金の相対的な魅力が薄れ、ヘッジファンドなどの短期勢を中心に利益確定売りが出やすい状況となった。特に株式市場がリスクオンを維持していることもあり、資金の一部が株式市場に戻っているのが現状だ。
堅調な需要と金利水準の綱引き
世界的には中央銀行の金買いが引き続き底支え要因となっているが、短期的には米金利動向が主導している構図に変わりはない。今週に入り、長期金利が小幅に上昇基調を維持したことで金価格の上値は抑えられた。ただし、地政学的リスクが完全に払拭されたわけではなく、現物需要の強さもあって下落幅は限定的にとどまっている。
今後は雇用統計と金利見通しがカギ
今後の金市場の焦点は、来月発表される米雇用統計とそれに伴う金利見通しだ。雇用が依然として堅調であれば、追加利下げ観測はさらに後退し、金は一段の調整が進む可能性がある。一方で、予想を下回る弱い雇用データが出れば再び利下げ期待が高まり、金は安全資産としての役割が強まって再び買いが入りやすくなるだろう。中長期的には中央銀行の買いと投資家の分散投資需要が支えとなり、一定の底堅さは維持される見通しだ。
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