最終更新日 2025年6月30日
2025年6月30日 金価格はインフレ鈍化とドル安観測で底堅く推移
昨日の世界経済を振り返ると、5月の米PCEデフレーターが予想を下回ったことでドル安観測が強まり、金価格は一時下落する場面があったものの1,320ドル台を中心に底堅く推移した。米長期金利が4.25%付近まで低下したことで金利負担のない金への投資需要が支えられ、買い戻しが優勢となった形だ。一方で、株式市場のリスク選好が続いており、安全資産としての金への資金流入は限定的となった。これにより、金価格は高値更新には至らず、レンジ内での値動きが続いている。原油価格の安定や中東情勢の緊張感が和らいだこともあり、地政学的リスクプレミアムは一旦落ち着いた状態となっている。
インフレ鈍化と金融政策見通しが与えた影響
今回のPCEデフレーターが予想を下回ったことで、米金融政策が利下げに向かう可能性が一段と意識され始めた。これによりドルが対主要通貨で軟調に推移し、相対的に金には買い戻しが入った。ただし、株高によるリスクオンの動きが強いことから、金の安全資産としての魅力はやや後退している。実需と投機筋の綱引きが続く中、短期的には金利とドル動向に一段と左右されやすい展開が続いているといえる。
足元の金市場の値動きと需給環境
金価格は昨日も1,320ドル台を軸に上下を繰り返すレンジ相場となった。米長期金利の低下が支援材料となる一方で、ETFなどのファンド筋の買いは限定的で、上値は重い印象だ。一部では中央銀行の金購入が継続しているとの見方もあり、長期的な需給は強いとの声も根強いが、短期的には米国の金利動向に過度に依存する状況が続いている。
今後の金相場の注目ポイント
今後は米雇用統計やISM製造業指数など、インフレと景気の方向性を示す経済指標が相場のカギを握る。もしインフレ鈍化が一段と鮮明になれば、米長期金利が低下し、ドル安基調が強まる可能性があるため、金価格には上昇余地が出てくる。ただ、株式市場のリスクオンが強まり過ぎると、相対的に金への投資妙味が後退するため、積極的な上値追いは限定的となる可能性も高い。引き続き金利・ドル動向、地政学リスクの有無、中央銀行の動きなど複合的な要因を見極める局面が続くだろう。
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