最終更新日 2025年6月30日
2025年6月30日 米国経済のインフレ鈍化と為替相場の小幅調整
昨日の米国では5月のPCEデフレーターが発表され、総合・コアともに市場予想をやや下回る結果となった。これにより年内追加利上げ観測は一段と後退し、ドル円は一時円高方向に動いたものの、株式市場の堅調さや長期金利の下げ渋りを背景に下値は限定的だった。米10年債利回りは4.25%台で推移し、主要株価指数は揃って小幅上昇。為替市場ではユーロドルが対ドルで上昇する一方、ドル円は一時159円前半まで調整後、再び159円台半ばを維持している。米経済のソフトランディング期待が強まる一方で、為替は金利動向に引き続き敏感に反応する状況が続いている。
インフレ鈍化を受けた米国の金融政策スタンスへの考察
PCEデフレーターが市場予想を下回ったことで、FRBが急いで利上げを行う必要性はさらに薄れたとみられる。これにより、投資家の間では「年内利下げに転じるタイミング」が意識され始めているが、一方で堅調な労働市場が下支えとなっているため、FRBは慎重な姿勢を崩していない。市場では「データ次第でスタンスを柔軟に維持する」との見方が強まっており、これが為替相場の方向性に不透明感を残している状況だ。
為替相場の現状と米金利動向の影響
ドル円はインフレ鈍化の影響で一時円高方向に振れたが、米長期金利が大きく低下しなかったことで急速な円高には繋がらなかった。株式市場のリスク選好も根強く、円買いの勢いは限定的だったといえる。一方で、ユーロドルは相対的にユーロ買いが優勢となり1.07台後半で推移している。市場は引き続き米金利の方向性に大きく左右されており、金利が落ち着けばドル円は再び上値を試す動きも視野に入りそうだ。
今後の展望と注目ポイント
今後は、来週以降の米雇用統計やISMなど重要経済指標の結果がドル円相場に大きく影響する見通しだ。インフレ鈍化が続き、労働市場にも緩和の兆しが見えれば、年内の利下げ観測がさらに強まり、ドル売り・円買い圧力が高まる可能性がある。ただ、地政学リスクや日本側の為替介入の可能性にも引き続き警戒が必要だろう。投資家は米金利動向と市場心理の変化を慎重に見極めながら、ポジション調整を進める局面が続くとみられる。
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