2025年8月25日 金価格は高値圏を維持、利下げ観測とインフレ懸念が需要を押し上げ

金価格を押し上げる利下げ期待とインフレ圧力

今回の金価格の高値維持は、複数の要因が複雑に絡み合って生じています。最大の要因は、米国の金融政策に対する市場の期待感です。最近の金融当局者の発言が、将来的な金利引き下げの可能性を示唆するものと受け止められたことで、米国の長期金利は低下しました。金利を生まない金は、金利が上昇すると相対的に魅力が低下しますが、金利が低下するとその魅力が増します。さらに、世界的なインフレ圧力が続いていることも大きな要因です。物価の上昇は通貨の価値を相対的に下げるため、インフレへのヘッジとして、価値が減りにくい実物資産である金に資金が流入しています。

「守りの資産」としての金と市場の動向

市場の動向を見ると、株式市場ではリスク選好の動きが強まり最高値を更新する活況を呈していますが、金はそれとは異なる側面で需要が高まっています。これは、投資家が経済の先行きに対するリスクに備える「守りの資産」として、金をポートフォリオに組み入れているためです。一方で、ドル建てで取引される金の価格は、ドルの価値と逆相関の関係にあります。今回の利下げ観測によるドル安の進行は、金価格を押し上げる要因として働きました。金市場は、株式市場の好調とドル安の両方から、需要の恩恵を受けていると言えます。

今後の金価格の行方を左右する主要要因

今後の展望として、金価格は依然として高い水準を維持する可能性が高いですが、その動向はいくつかの主要な要因に左右されるでしょう。短期的には、今週末に発表される米国の個人消費支出（PCE）価格指数が注目されます。この経済指標が市場の利下げ観測を強めるか、あるいは後退させるかによって、金利やドルの動きが変わり、それが金価格にも直接影響するからです。中長期的には、世界的なインフレ動向、各国の金融政策、そして地政学的なリスクが、金の価格を決定づける主要な要因であり続けるでしょう。これらの不確実性が高まる限り、安全資産としての金の需要は継続すると予想されます。