2025年8月21日 米国株はハイテク株が重し、日本株も調整売りで大幅続落

米国ハイテク株の調整と日米株式市場の連動性

昨日の株式市場の動きは、米国の過熱したハイテク株に対する調整圧力が、日米の株式市場に波及したことを明確に示しています。米国市場では、連日のように最高値を更新してきたハイテク株に利益確定売りが入り、ナスダック指数を押し下げました。この動きは、米国の金融政策の先行き不透明感と相まって、投資家がリスクの高い銘柄から一旦資金を引き揚げる動きを加速させました。日本株市場も、この米国市場の動きに敏感に反応しました。特に、半導体製造装置関連や電子部品などの銘柄は、米国市場の同業他社の株価下落に連動し、日経平均株価の下げ幅拡大に大きく寄与しました。これは、両国の経済がサプライチェーンなどを通じて深く結びついていることを改めて示すものであり、一方の市場で生じた調整がもう一方の市場にも影響を与えるという連動性の高さが確認されました。

セクターローテーションとリスクオフの動き

昨日の市場では、セクター間の資金移動、いわゆるセクターローテーションの動きも見られました。米国市場では、ハイテク株が売られる一方で、生活必需品やヘルスケアといったディフェンシブセクターに資金が流入しました。これは、市場が不確実性を増している局面において、投資家がより安定した収益が見込める銘柄に資金をシフトしていることを示唆しています。日本市場においても同様の動きが見られ、半導体やハイテク株が売られる一方で、トヨタやホンダといった自動車関連株や、食品・陸運などの内需関連銘柄が堅調に推移しました。これらの銘柄は、これまでハイテク株に比べて出遅れていたため、割安感に着目した買いが入ったと考えられます。市場全体がリスクオフのムードに傾く中で、投資家はポートフォリオのバランスを調整し、安定志向の投資に切り替えている状況がうかがえます。

政策動向と企業業績を見極める今後の展望

今後の米国株と日本株の動向は、いくつかの重要な要因に左右されるでしょう。米国では、今夜のパウエル議長の講演やFOMC議事要旨の公表内容が焦点となります。もしFRBがインフレ抑制を重視し、金融引き締め的な姿勢を維持するようであれば、株式市場はさらなる調整圧力に晒される可能性があります。その一方で、経済のソフトランディングが可能であるとの確信が示されれば、市場は再び安定を取り戻すでしょう。日本株については、米国市場の動向に加え、企業の決算発表が本格化する中で、各社の業績見通しが重要となります。特に、これまでの株価上昇を支えてきた半導体関連企業やハイテク企業の業績が市場予想を上回るかどうかが、今後の株価の行方を左右するでしょう。短期的には、日米ともにこれまでの上昇に対する調整が続く可能性がありますが、中長期的には、堅調な企業業績や各国政府の経済政策が、市場を再び押し上げる原動力となる可能性を秘めていると言えます。