2025年8月5日 金価格、米早期利下げ観測で続伸：安全資産としての魅力高まる

米国の利下げ観測が金価格の主要な上昇要因に

今回の金価格の上昇は、主に米国の金融政策の方向性への市場の期待が背景にあります。前週末の米雇用統計が予想以上に悪化したことに続き、昨日の製造業新規受注も弱かったことで、FRBが景気減速に対応するため、従来の金融引き締めスタンスから早期の利下げへと転換するとの観測が強まりました。政策金利の引き下げは、米国債などの利回り低下を招き、利息を生み出さない金への投資妙味を相対的に高めます。特に、実質金利が低下する局面では、金はインフレヘッジとしての魅力も増すため、投資家の資金が流入しやすくなります。加えて、世界経済の先行き不透明感や地政学的なリスクの高まりも、伝統的な安全資産である金への需要を押し上げる要因として作用しています。各国の主要中央銀行による金購入も、金価格を下支えする重要な要素となっています。

金価格は大幅反発、市場は利下げ期待を強く織り込む

昨日の金市場では、ニューヨーク金先物12月限が3,399.8ドルで取引を終え、前日比で51.2ドルもの大幅な上昇を見せました。これは、前週からの上昇基調を継続するもので、市場が米国の早期利下げを強く織り込んでいることを示唆しています。取引レンジは3,331.4ドルから3,416.9ドルと比較的広い値幅で推移し、活発な取引が行われました。金利低下が意識される中で、投機的な買いも入りやすくなったと考えられます。同時に、プラチナや銀といった他の貴金属も同様に大幅反発しており、貴金属市場全体でリスク回避と金利低下への期待が強まった一日となりました。ドル円の為替市場では、米長期金利の低下に伴いドル安・円高が進行し、金価格のドル建てでの上昇を相対的に加速させる要因となりました。

金市場の今後の展望：金融政策と地政学リスクが鍵

今後の金市場の見通しは、引き続きFRBの金融政策と世界的な地政学リスクの動向に大きく左右されるでしょう。市場は現在、9月のFRBによる利下げを強く期待していますが、今後の経済指標（特に消費者物価指数やさらなる雇用統計）がFRBの利下げ判断に影響を与えることになります。もしインフレが依然として高水準で推移したり、経済が予想以上に底堅さを示したりするようであれば、利下げ観測が後退し、金価格に下落圧力がかかる可能性もあります。逆に、経済のさらなる減速や金融システムの不安定化が進めば、安全資産としての金の需要はさらに高まり、一段の上昇も期待されます。
また、世界各地でくすぶる地政学的な緊張も金価格の重要なサポート要因となるでしょう。ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や、中東情勢の不確実性など、不透明な要素が続く限り、金は投資家にとって魅力的なヘッジ手段であり続けると考えられます。長期的には、金は供給量が限られている希少な資源であるため、需要が供給を上回る限りは上昇傾向が続くと見込まれています。しかし、短期的には金利動向や地政学リスクに関するニュースに敏感に反応するため、乱高下を伴う可能性も考慮する必要があります。