2025年7月19日：金相場は小動き、金融政策の思惑とドル動向が影響

金融当局の政策スタンスとドルの強さが金価格を抑制

昨日の金相場の小幅な動きは、主に米ドルの動向と金融当局の政策スタンスに対する市場の解釈が影響しています。米国では、インフレが徐々に落ち着きを見せる一方で、景気減速の兆候も散見されています。このような状況下で、金融当局が早期の利下げに慎重な姿勢を示したり、少なくとも市場が織り込むほど急速な利下げには踏み切らないとの見方が強まったりすると、実質金利が上昇しやすくなり、利息を生まない金にとっては逆風となります。また、前日のドル安基調が一服し、ドルがやや持ち直したことも、金価格の上昇を抑える要因となりました。金はドルの代替資産としての側面も持つため、ドルの安定は金の魅力を相対的に低下させます。

レンジ相場を形成する金市場の背景

現在の金市場は、明確なトレンドを形成しにくいレンジ相場にあります。これは、インフレ懸念が完全に払拭されたわけではないものの、急激な上昇圧力も後退しているためです。投資家は、経済の先行きに対する不確実性から安全資産としての金を保有するニーズと、高金利環境下での機会費用との間でバランスを取ろうとしています。短期的な投機筋の動きも散見されますが、全体としては、米国の経済指標や金融当局者の発言、そして地政学的なニュースに反応しながら、限定的な範囲での値動きが続いている状況です。出来高も極端な増減はなく、市場が次の大きな材料を待っている状態がうかがえます。

実質金利と地政学リスクが鍵を握る今後の金相場

今後の金相場は、主に実質金利の動向と地政学的なリスクの高まりによって方向性が決定されると予想されます。米国でインフレがさらに鈍化し、金融当局が利下げに踏み切る可能性が高まれば、実質金利の低下を通じて金価格には上昇圧力がかかるでしょう。一方で、世界経済が堅調な成長を続け、リスク選好度が回復すれば、金のような安全資産への需要は減退する可能性があります。また、中東やアジア太平洋地域における緊張の高まり、あるいは主要国間の通商摩擦の激化といった地政学的なイベントは、突発的に金価格を押し上げる要因となり得ます。長期的な視点では、各国中央銀行による金準備の積み増しや、中国・インドなどの新興国における宝飾品需要の動向も、金相場の下支え要因として注目されるでしょう。