2025年7月4日：米国の好調な雇用統計が金価格を押し下げ、動向に注目集まる

米経済の強さが金利上昇とドル高を招き金価格に逆風

今回の米国の雇用統計の好調な結果は、米連邦準備制度理事会（FRB）が利下げを急ぐ必要性が低いとの市場の見方を強めました。景気が堅調である限り、FRBはインフレ抑制のために高金利を維持する可能性が高まります。金は利子を生まない資産であるため、金利が上昇すると投資妙味が薄れる傾向があります。また、経済指標の強さからドルが買われたことも金価格にとって逆風となりました。ドル建てで取引される金は、ドル高が進むと他通貨を持つ投資家にとって割高になり、需要が抑制される傾向があります。

金は一時的に2300ドルを下回る水準で推移

昨日の金価格は、米国の雇用統計発表後に明確な下落トレンドを示しました。一時、オンスあたり2330ドル台で推移していましたが、発表直後には売りが強まり、2300ドルを割り込む水準まで下落する場面が見られました。その後はやや買い戻しの動きも見られましたが、全体的には軟調な地合いが続き、終値は前日比で約1%安となりました。他の貴金属も金に追随する形で値を下げ、市場全体のリスク選好ムードが強まる中で、安全資産としての魅力が薄れた形です。

米国の休場を控え、来週以降の金融政策動向が鍵

本日、米国は独立記念日で市場が休場となるため、金市場も大きな変動は限定的となるでしょう。しかし、昨日の強い雇用統計は、今後の金融政策の方向性を巡る議論に影響を与え続けると考えられます。市場は引き続き、FRBがインフレ抑制と経済成長のバランスをどのように見極めるかに注目しています。もしインフレ圧力が再び高まる兆候が見られたり、地政学的なリスクが顕在化したりすれば、安全資産としての金への需要が再び高まる可能性もあります。一方で、米国の経済が堅調を維持し、高金利が続くようであれば、金価格には引き続き下押し圧力がかかる可能性があり、来週以降の経済指標やFRB高官の発言が重要視されます。