最終更新日 2025年6月17日
2025年6月17日 米国経済の回復鈍化懸念がドル売りを誘発
6月16日に発表された米国の5月小売売上高は前月比+0.1％と市場予想（+0.3％）を下回り、個人消費の減速懸念が浮上した。これを受けて米国債利回りが低下し、ドル売りが進行。為替市場ではドル円が一時157円台前半まで下落し、1ドル=157.2円付近での推移となった。また、FOMCメンバーの一部からも利下げに前向きな発言が相次ぎ、年内の金融緩和観測が強まっている。
今回の出来事への考察
米国の個人消費が再び減速傾向にあるとの見方が強まり、市場は景気回復に対する慎重なスタンスへと傾いた。特に小売売上高の低調は、インフレ抑制のための高金利政策が消費を圧迫している可能性を示唆しており、連邦準備制度が早期に利下げに踏み切る余地を与える結果となった。これにより、リスク回避的なドル売りが進み、円やユーロなど他通貨への資金シフトが見られた。
市場の動向
16日の為替市場では、ドルが主要通貨に対して全面安の展開となり、ドル円は一時157円台前半まで下落。米10年債利回りも前日比で0.08％下落し、3.21％台に。株式市場ではNYダウが反落し、ナスダックも小幅に続落。特に景気敏感株が売られ、金融・小売関連銘柄の下げが目立った。米株全体としては調整色が濃く、リスクオフの流れが一部で強まった。
今後の展望
今後の注目は、次回のFOMC会合に向けた政策スタンスの変化と、PCEデフレーターや雇用統計など追加の経済指標に移る。もし今後のデータでも消費減速やインフレ沈静化の兆候が見られれば、9月の利下げ開始への期待が高まるだろう。為替市場では、157円のサポートラインを割り込む展開も視野に入り、円高方向への警戒感が継続する。中期的には155円台への調整もあり得る構図となっている。
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