2025年7月31日：米経済の底堅さとFOMCのタカ派姿勢がドル高を牽引

2025年7月31日：米経済の底堅さとFOMCのタカ派姿勢がドル高を牽引

米国の経済指標では、第2四半期のGDP速報値が市場予想を上回り、経済の底堅さを示した。サービス消費は一部で伸び悩みが見られるものの、雇用統計は引き続き堅調な数字を維持しており、労働市場の強さが確認されている。FRBは最新の連邦公開市場委員会（FOMC）で政策金利を据え置くことを決定した。会見では、パウエル議長がインフレ抑制に向けた慎重な姿勢を強調し、早期の利下げ観測を後退させたことで、市場はこれを「タカ派的」と受け止めた。さらに、複数のメンバーが利下げに反対票を投じる異例の事態も発生し、FRB内でも金融引き締めに対する意見の相違が浮き彫りになった。これに加え、関税引き上げの動向が企業活動や物価に影響を与え始めており、一部の企業はコスト増を消費者に転嫁する動きも見られる。

市場の動向

FOMCの結果とパウエル議長の発言を受け、外国為替市場ではドル買いが加速し、ドル円は一時149円台半ばまで上昇した。米国債利回りも上昇し、特に2年債利回りは高水準で推移しており、日米金利差の拡大がドル高・円安の主要因となっている。株式市場では、米国の底堅い経済指標や一部企業の決算が好感され、ナスダックを中心に上昇する場面も見られた。しかし、関税や金利上昇による景気減速懸念から、ダウ平均株価は下げ幅を拡大する場面もあり、市場全体としては強弱感が入り混じっている。原油価格は上昇しており、インフレ圧力の持続を示唆している。

今後の展望

今後のドル円相場は、日米の金融政策の方向性の違いが引き続き主要な決定要因となるだろう。FRBはデータ次第で利下げの可能性を示唆しているものの、インフレ圧力の根強さや労働市場の堅調さを背景に、慎重なスタンスを維持する可能性が高い。一方、日本銀行は現状の金融緩和策を維持する可能性が高く、日米金利差は当面拡大基調を辿ると予想される。これにより、ドル円は引き続き上値を試す展開が考えられ、150円台への到達も視野に入る。ただし、米国の関税政策の具体的な進展や、それによる世界経済への影響、特に主要貿易相手国との交渉の行方によっては、景気減速懸念が強まり、リスクオフの動きから一時的にドルが売られる可能性も否定できない。また、米国債利回りの動向や、FRBが重視するPCEデフレーターの今後の推移も、ドルの方向性を左右する重要な要素となる。