2025年7月10日 米国経済、貿易政策と金利動向が為替を左右

貿易政策と金融政策の複雑な相互作用

昨日の市場の動きは、米国の貿易政策が国際的な金融市場に与える影響の大きさを鮮明に示しました。新たな関税導入の可能性を巡る議論が、株式市場に不安定さをもたらすだけでなく、為替市場の主要な変動要因ともなっています。特に、貿易問題が米連邦準備制度理事会（FRB）の利下げ判断や、日本銀行の利上げ時期に影響を与えるとの見方が浮上しており、これら主要中央銀行の金融政策スタンスが為替レートを左右する重要な要素となっています。米国の長期金利の低下は、貿易問題が景気に与える影響への懸念を反映しており、ドル売りの一因となりました。

ドル円相場の政策要因による変動

ドル円相場は、日中の金融政策に関する観測と夜間の債券利回り動向によって大きく変動しました。午前中は日米の金融政策修正時期が後ずれするとの見方からドル買い・円売りが進みましたが、夜には米国債利回りの低下がドル売りを誘発し、円高へと転じました。147円台への挑戦は見られたものの、明確な突破には至らず、146円台前半で落ち着きました。市場参加者は、貿易交渉の行方と、それが各中央銀行の金融政策にどう影響するかを注視しており、これらの不確実性が短期的な為替変動を激しくしています。

貿易摩擦と金融政策が織りなす今後の為替展望

今後の為替市場は、米国の貿易政策の展開に強く影響されると予想されます。8月1日とされる関税交渉の期限が近づくにつれて、関連する情報や要人の発言が市場のボラティリティを高める可能性があります。貿易摩擦が続く限り、米ドルが引き続き強含むとの見方もありますが、一方で、貿易問題が米国経済の減速を招き、FRBのさらなる利下げを加速させる可能性も指摘されています。

ドル円相場については、147.50円を終値ベースで明確に上回ることができれば、一段の円安が進行する可能性も考えられます。しかし、日本銀行の利上げが来年3月まで先送りされる可能性も示唆されており、日米間の金融政策の方向性の違いが円安圧力を継続させる要因となり得ます。市場は今後も、経済指標の発表や政策当局者の発言に細心の注意を払いながら、新たな価格帯を模索していくことになりそうです。夏季にかけては市場の流動性が低下し、突発的な値動きが発生するリスクも考慮されるべきでしょう。