2025年7月8日 米国経済の底堅さ示唆とトランプ関税発表でドル高進行

トランプ関税発表が為替市場に与えた影響

昨日の為替市場は、トランプ前大統領が日本からの輸入品に対する25％の追加関税を8月1日から賦課すると通知したことが大きな材料となりました。この発表は、米国内の物価上昇（インフレ）に繋がるとの思惑から、米国の長期金利を押し上げました。金利が上昇すると、金利のつきにくい円から金利の高いドルへと資金が流れやすくなるため、日米金利差の拡大期待からドル買い・円売りが進行しました。また、一部では、関税政策を巡る交渉の進展への期待も混在し、短期的なボラティリティを高める要因となりました。

ドル円相場の力強い上昇と市場の反応

昨日のドル円は、対新興国通貨でのドル買いの流れも相まって、東京時間から円安ドル高が先行しました。海外時間に入ると、トランプ関税のニュースが伝わり、米長期金利の上昇が加速したことで、ドル円はさらに上昇幅を拡大し、一時146円台に到達しました。これは、FRBの利下げ観測が後退し、米国経済の底堅さが改めて意識されたことも背景にあります。株式市場は、関税による景気への影響を懸念し、NYダウが下落する場面もありましたが、為替市場では金利差拡大への意識が勝り、ドル高基調となりました。

今後のドル円相場の展望と注目点

今後のドル円相場は、引き続きトランプ政権の通商政策の動向、そして米国の経済指標やFRBの金融政策スタンスに大きく左右されると予想されます。トランプ関税の具体的な影響や、日本側からの報復措置の有無など、貿易摩擦の行方は不透明感が残ります。また、米国の景気が引き続き堅調さを維持するようであれば、FRBが利下げに踏み切る時期がさらに後ずれする可能性があり、その場合は日米金利差が現状維持、あるいは拡大することで、ドル高・円安基調が続く可能性があります。しかし、一方で、関税が実際に米国内の景気を冷え込ませるような事態になれば、ドル高の勢いは弱まることも考えられます。当面は、政治的な発言や経済指標の発表に市場は敏感に反応するでしょう。